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家出少女 苦しくても恋1

第1話:いつもの事情

 携帯電話が鳴ってる。
 この着信音はメールで、着メロからするとサトシだ。そっか、もう一週間経つんだ。
 エリはテーブルの上に無造作に置かれた携帯電話を手に取り、サトシからのメールに目を落とす。
『明日、いつもの場所、時間で』 必ずと言っていいほど、タイミング的に忙しいとき
 これが題名。本文は何も書いていない。サトシからのメールはいつもこうだ。
「たまにはうれしくなるようなこと書いてくれてもいいものなのにね」
 エリは溜息を吐きつつも、サトシからのメールに心躍る。
 サトシはエリのセックスフレンドであり、それ以上の関係でもない。ひょんなことから知り合い、関係を続けてきた。その時も今もお互いこれと決めた相手はいない。これでいいか、と思いつつも心のどこかでサトシを求めている。体だけでなく、心も。
「あーあ…どうしよう…」
 恋愛感情を持たないこと。それがこの関係を始めたときに二人で決めたこと。過去に恋愛がらみで痛烈な痛みを持った二人だから、体だけの関係にしようと決めた。
 だから、好きになっちゃいけない。
 わかっている。
 わかっているけど……
「はぁ……終わっちゃうのかなー……」
 携帯電話を無造作に投げ、エリはベッドに身を投げ出した。

「でね、聞いてよ!」
 エリはサトシに会うなり、愚痴を吐きだした。
 会うときはいつもこのレストラン。あまり高くもないし味もまぁまぁ、そしてムードもそれなりにある。
 サトシはいつも通りの表情でエリの愚痴を聞いている。これって甘えだよね、とエリは話しながらも思う。でも、こういう時もあるのだ。
 サトシは聞き上手だ。いつもエリのペースで話しが進むが、それにサトシが異論を唱えることはない。かつてそれについて聞いてみたところ、
「別に、エリの話は聞いていて勉強になるし、それに、俺はあまり話がうまい方ではないから」
と返ってきた。確かに、サトシはあまりしゃべらない。エリの話に相づちを打ち、間違っていれば正す。でも、強制はしない。エリからすれば、最高の話し相手だ。
 今日も昼間に職場であったことを話している。やれ上司が口うるさいだの、同僚は馬鹿なことしてくれただの……
 だが、今日は少し違った。
「…ね、やんなっちゃう」
「エリ、何かあったか?」
 サトシが話を遮って聞いてきた。
「え?」
 一瞬、何を言われたのかわからなかった。ただの問いかけ。それだけなのだが…
「ごめん、もう一回いってくれる?」
 エリはあえて聞き返した。
「何かあったのか?」
 サトシはいつも通りの穏やかな表情である。
「な、なんでそう思うの?」
「いつもより、話しのペースが速いのと……そうだな……」
 サトシは一瞬考えるように言葉を切る。
 刹那の空白が息苦しい。
「…いや、何でもない。ごめん、思い過ごしかもな」
「………」
 にっこりと、それでいてすまなそうなサトシの顔を、エリは見ることができない。
「行こっか」
 料理はすでに食べ終わっている。エリは席を立つとサトシを促した。
「そうだな」
 ここまでは、ちょっと違うけどいつも通りに振る舞った。大丈夫、ばれていない。エリは内心焦りながらもサトシの腕に自分のそれを絡めた。
 
   
    
 
「今日はどこにする?」
 エリはサトシにもたれながら聞いてみた。尤も、ラブホテルなんてどれも似たようなものだから、どこでもいいんだけど。
「そこにしよう」
 サトシはエリの腕を取り、ホテルの入り口を目指す。
「ここって……」
 見覚えがある。そして、エリは何となくうれしくなってきている自分に気がついた。
 部屋に入り鞄をソファーに置くと、エリは背中からサトシの躰に抱きついた。
「覚えてる?ここって…」
「あぁ、だから入った」
 サトシの返事に一気にうれしさが増した。二人で入った初めてのラブホテルだった。
 でも……
「ばれたのかな?」
 小声で独りごちる。
「何か言ったか?」
「言ってないですよー」
 サトシの躰から腕を放し、サトシの正面に廻る。
 サトシは相変わらず穏やかな顔だ。でも、その中に優しさを感じる。
 さすがに部屋まで初めて来たときの場所とは行かなかったが、何となくうれしい。
 エリはサトシに抱きつく。そして、首に腕を廻すと、何も言わず唇を重ねた。それにサトシは答えるように舌を絡めてくる。
 長いようで一瞬の、ディープキス。
 お互いで舌を舐め合い、唾液を交換する。
 部屋の中にいやらしくも激しい音が響く。
 惜しむように唇を離すと、お互いの唇同士が絡んだ唾液が細い線となってつながっていた。
「さて、まずはシャワーでも浴びよっか?」
 エリはサトシの腕を取り、風呂場まで向かうことにした。

 サトシの背中を両の手でまんべんなく洗う。サトシの背中はとても広く感じ、エリとしては好みの方だ。しかも、自分よりずいぶん年上なのに、非常に肌がきれいで、キメも細かい。
「この肌って…絶対女の敵だよね」
「そんなこと言われてもなぁ…だいたい、背中は自分では見られないし」
 エリの言葉に、困ったような口調でサトシは返す。
「でもでも、サトシ君はあたしより全然年上なのに…あたしより肌がきれいなんだもん。やっぱむかつくよ」
「むかつかれても困るんだけど?ていうか、エリはまだまだ若いし、それに…」
 サトシはエリの方を向き、エリの背中に手を廻す。
「こんなにすべすべした肌を持っているんだし、こんなおじさんの肌と比べるだけナンセンスだよ」
 言いつつ、背中に廻した手でエリの背中を優しく愛撫する。
「あ……せ、背中は…」
「わかっているよ」
 エリは背中が弱い。軽く、優しく手の平で撫でるだけでその表情が妖艶なものに変わっていく。感じている証拠だ。
 サトシはなおもエリの背中を撫で回す。
「やだ…背中ばっかり…」
 エリは仕返しとばかり、サトシのイチモツに石鹸で濡れた手を延ばす。
「ここが弱いの、知っているんだからね」
 エリの目がいやらしく輝き、指でサトシのイチモツを撫で回す。
「それに……」
 空いた手を背中からサトシの尻に延ばし、そのまま肛門まで指を這わせる。
「う…」
「んふふっ…おしり、弱いもんねぇ…」
 エリだけが知っているサトシの弱点。サトシは肛門が弱い。むしろ感じているらしい。一度サトシの肛門に指を入れたままフェラチオをしてあげたときのサトシの絶頂と言ったら……普段よりも多く精液が出て飲みきれないほどだったのを思い出す。
「き、きみだって…」
「や、やだっ」
 言うが早いか、サトシの指がエリの肛門に届く。そのまま石鹸に濡れた指をエリの肛門に優しく、だが有無を言わせぬうちに入れ始めた。
「ちょっ…後ろは…はぁあん」
 サトシの指がエリの肛門の中で蠢く。その動きは優しく、でも、確実に犯していく。
「だ、だめ……お、おし…り…」
「そして、こっちも、だろ?」
 空いている手で、エリのヴァギナを攻め始める。すでに濡れているヴァギナの穴にすっぽりと指が入っていく。
「背中とケツの穴で、ここはびしょびしょだな」
「やだっ!言っちゃやだよぉ…」
「それ!まずはいっちゃえ!」
「や…さ、サトシ君も一緒に」
 エリのサトシへの愛撫も、サトシの愛撫の激しさと共に増していく。
「あぁ…エリ、気持ちいいよ…」
 サトシの絶頂も近い。
「だ、だめ…もう…」
「お、俺も…」
 サトシのイチモツから精液が流れ出、また、エリのヴァギナからは潮が噴き出した。
 風呂場の床で二人がもたれ合う。
「はぁはぁ……もう、激しいんだから…」
「そういうエリこそ…」
 激しく息を吐きながら、お互いに文句を言い合う。しかし、その言葉には何か満足したものが込められていた。
「でも、これで終わりじゃないからね?」
 エリの目がいやらしく輝く。
 続きはベッドの中で。充分満足させてもらうから。
 エリは心の中で独りごちる。

 そうか、泊まったんだっけ。エリはぼんやりとした頭で思い出す。
 風呂場の次はベッドで数回。
 気がついたら寝ていた、という訳だ。
 横にはサトシが寝ている。
「あたし、やっぱ好きだな」
 サトシを起こさないように声に出してみた。
 大丈夫、起きてない。
 エリは寝ているサトシの顔を一瞥すると、再度布団の中に潜ろうとした。
「そういうことか」
 視線を外した途端、サトシの声が聞こえた。
 え?
 エリはびっくりしてサトシを見る。
 起きていた。
「き、聞こえ……」
 サトシは躰を起こすと、エリの目を見た。
「昨日思ったことは、それが原因みたいだね」
 サトシの表情はいつものように穏やかだ。しかし、心なしか悲しげな色が浮かんでいた。

(苦しくても恋 第1話おわり/第2話につづく)

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